副作用・相互作用
●副作用
抗うつ薬により起こりうる副作用とその対策 (今日の治療薬より作成)
●相互作用
ほとんどの薬剤は、単剤で使用することを前提に認可されており、実際に薬物治療を実施するには
添付文書の情報だけでは不十分であるといえます。
薬物相互作用には、以下の2種類があります。
*薬物動態学的相互作用…ADME(吸収、分布、代謝、排泄)の過程でおこる
*薬力学的相互作用
◆吸収 Absorption
多くの抗うつ薬は食事の影響を受けにくいが、血漿タンパク結合率は薬によりさまざまである。
タンパク結合率が高い薬ほど、血漿タンパク量の影響を受けやすくなります。
薬が結合する主要なタンパク質はアルブミン、α₁酸性等タンパク質(塩基性薬物のみ)です。
低アルブミン状態(低栄養、肝障害、腎障害など)には、血中の非タンパク結合型分率が上がるので
副作用リスクが上昇します。
α₁酸性糖タンパクは炎症により増加します。炎症のある状態で定めた服用量を継続すると
炎症が静まったときに副作用リスクが上昇します。
◆代謝 Metabolism
SSRIの酵素阻害作用は用量依存の傾向があるという報告があります。
代表的な薬物代謝酵素であるシトクロムP450(CYP)は併用薬や食事、喫煙、飲酒、
生まれ持った遺伝子型などにより誘導・阻害を受けます。
酵素誘導されると薬が効きにくい、酵素阻害されると副作用が現れることがあります。
抗うつ薬に関わるCYPの遺伝子多型は以下のようなものがあります。(*は変異の場所)
・CYP2D6
PM(poor metaboliser)の頻度は白人では7%と高いが日本人では1%以下という報告があります。
しかし、IM(intermediate metaboliser)の頻度は15%ほどに達します(*10の変異)
2D6のIMは酵素活性が1/5程度まで低下するといわれています。
・CYP2C19
日本人でPMの頻度は約20%に達します。(*2,*3の変異)
・CYP2C9
最も重要な*3変異の頻度は日本人では2%
ホモ接合体の推定頻度は2500人に1人、ヘテロ接合体は25人に1人と言われていますが、
酵素活性にどの程度影響があるのかについての情報を得られていません。
CYP基質・誘導・阻害薬 Spina E and de Leon J. J Neural Transm DOI 10.1007/s00702-014-1300-5
