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添付文書情報~国内添付文書情報

 医薬品の添付文書は、医薬品情報の中でも最も基本的で重要な情報源である。添付文書は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下、医薬品医療機器等法)に基づき提供される法的な根拠を持つ情報で、「医療用医薬品」用と「OTC医薬品」用があり、製薬企業から提供される。これらは最新の論文等より得られた知見に基づいて記載しなければならない。

医薬品の添付文書

1.医療用医薬品の分類

 (1)医療用医薬品の分類
 医療用医薬品とは、医師もしくは歯科医師によって使用され、またはこれらの者の処方せんもしくは指示によって使用されることを目的として供給される医薬品をいい、主に新医薬品と後発医薬品に分類される。「新医薬品」とは、医薬品医療機器等法第14条の4に定められる既に承認を与えられている医薬品と有効成分、分量、用法、用量、効能、効果等が明らかに異なる医薬品であり、主に、新有効成分含有医薬品、新医療用配合剤、新投与経路医薬品、新効能医薬品、新剤型医薬品、新用量医薬品などである。 後発医薬品(ジェネリック医薬品)は、新有効成分や新しい効能・効果等を有することが臨床試験等により確認され承認された新薬の特許が切れた後に、その新薬と同一の有効成分を同一量含み、同一投与経路の製剤であり、効能・効果、用法・用量も原則的に同一である医薬品で、生物学的同等性試験等にてその新薬と治療学的に同等であることが検証されているものである。

 (2)医療用医薬品添付文書の法的な意義
 医療用医薬品添付文書は、医薬品医療機器等法第52条1号の規定に基づき、医師、歯科医師及び薬剤師に対して必要な情報を提供する目的で当該医薬品の製造業者又は輸入業者が作成する公的な文書である。添付文書には、医薬品の提供を受ける患者の安全を確保し適正使用を図るために必要な品質、有効性、安全性に関する情報が集約されている。添付文書は承認されるまでの情報に基づいて作成され、市販後の調査等により随時改訂がなされる。
添付文書の適応等の記載内容により保険医療が認められているため、医薬品の使用に関しては、添付文書を遵守する必要がある。また、添付文書に記載された使用上の注意事項に従わず、それによって医療事故が発生した場合には、特段の合理的理由がない限り、医療従事者の過失となる判例が出されている。
 
 (3)医療用添付文書記載項目とその内容
 医療用医薬品の添付文書について、医薬品医療機器等法第52条に、当該医薬品に関する最新の論文その他により得られた知見に基づき、「添付文書等記載事項」が決められている。また、第54条には、記載の禁止事項として、虚偽又は誤解を招くおそれのある事項、承認を受けていない効能又は効果、また保健衛生上危険がある用法、用量又は使用期間などがある(図1)(表1)。



        図1.医療用医薬品添付文書の記載項目

       表1. 医療用医薬品添付文書の「使用上の注意」の項目及び順序

1.警告  
2.禁忌
(1) 原則禁忌、(2) 併用禁忌
3.効能・効果に関する使用上の注意
4.用法及び用量に関する使用上の注意
5.慎重投与
6.重要な基本的注意  
7.相互作用  
(1)併用禁忌、(2) 併用注意
 
8.副作用  
(1) 重大な副作用、(2) その他の副作用
高齢者への投与  
妊婦、産婦、授乳婦等への投与  
小児等への投与  
臨床検査結果に及ぼす影響  
過量投与  
適用上の注意  
その他の注意
 
 

 
 (4)添付文書:「使用上の注意」の改訂

 医療用医薬品の添付文書で、「使用上の注意」は適正使用のために重要な情報である。使用上の注意の改訂は、副作用報告の集積状況、海外での規制状況、研究論文等から総合的に評価した上で改訂される。その情報提供は、厚生労働省から出される「使用上の注意の改訂通知」、日本製薬団体連合会から提供される「医薬品安全対策情報(DSU)」などで行われる。重要度に応じ「緊急安全性情報」、「安全性速報」などで提供されることもある。

 (5)医療用医薬品添付文書情報の入手および検索
 医療用医薬品添付文書情報の入手および検索は、下記のサイトにおいて可能である。

・医薬品医療機器総合機構 医療用医薬品 情報検索
   (http://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuSearch/

 このほかにも、以下の情報等を選択して検索可能である。
  ・患者向医薬品ガイド/ワクチン接種を受ける人へのガイド、くすりのしおり
  ・インタビューフォーム、改訂指示反映履歴および根拠症例
  ・重篤副作用疾患別マニュアル(医療関係者向け)
  ・審査報告書/再審査報告書等
  ・緊急安全性情報、安全性速報、医薬品・医療機器等安全性情報(厚生労働省発行)
  ・医薬品の適正使用に関するお知らせ、医薬品に関する評価中のリスク等の情報(調査報告書)など

・各製造販売業者のウェブサイト 

2.OTC医薬品添付文書

  OTC医薬品は、薬局・薬店・ドラッグストアなどで市販され、「市販薬」「大衆薬」「家庭薬」とも呼ばれる。OTCはOver The Counterの略で、カウンター越しにお薬を販売するかたちに由来している。近年、急速な高齢化や生活習慣病の増加などの社会的な変化に伴い、QOLの向上など消費者自身の健康に対する関心が高まっている中、身近にあるOTC医薬品等を利用する「セルフメディケーション」の重要性も認識されてきている。WHOによれば、「セルフメディケーションとは、自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てする」こととされている。今後、医療費等の観点からも、医療用医薬品からOTC薬への移行などが増えるものとみられる。
 OTC医薬品の添付文書は、一般の使用者にも、医薬品の仕様に際し、自己判断できることを目的として作成された文書で、適正使用にかかわる重要な情報が記載されている。製薬企業が作成する。一般使用者に正確に情報を伝えるために、適宜、図表やイラストを用いる等の工夫をすることなどが求められる。 

表2 OTC薬:製造販売承認基準のある15薬効群

1. かぜ薬
 
6. 鎮暈薬
 
11. 鼻炎用点鼻薬
 
2. 解熱鎮痛薬
 
7. 眼科用薬
 
12. 鼻炎用内服薬
 
3. 鎮咳去痰薬
 
8. ビタミン主薬製剤
 
13. 外用痔疾用薬
 
4. 胃腸薬
 
9. 浣腸薬
 
14. みずむし・たむし用薬
 
5. 瀉下薬
 
10. 駆虫薬
 
15. 鎮痒消炎薬
 

 

 OTC医薬品は、要指導医薬品と一般用医薬品があり、一般用医薬品はリスクに応じて1類から3類まで分類されている(表3)。  

 表3 OTC医薬品分類と情報提供         

OTC医薬品分類
 
対応する
専門家
 
販売者からお客様への説明
 
インターネット、
郵便等での販売
 
要指導医薬品
 
薬剤師
 
対面で書面での情報提供(義務)
 
不可
 
一般用医薬品
 
第1類医薬品
 
書面での情報提供(義務)
 

 
第2類医薬品
 
薬剤師または登録販売者
 
努力義務
 
第3類医薬品
 
法律上の規定なし
 

  

(1)要指導医薬品

 要指導医薬品は、医療用医薬品から、第1類医薬品に区分が変更直後のリスク評価が終わっていないスイッチOTC薬、その他劇薬・毒薬、販売直後のダイレクトOTC医薬品等が該当する。その適正な使用のために、薬剤師の対面による情報の提供及び薬学的知見に基づく指導が行われることが必要なものとして、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定する。店舗では、生活者が薬剤師の説明を聞かずに購入することがないよう、すぐには手の届かない場所に陳列などすることとされている。

(2)一般用医薬品

 一般用医薬品はその安全性管理の重要度に応じ、第1類医薬品、第2類医薬品、第3類医薬品に分類されている。
1)第1類医薬品:副作用、相互作用などの項目で安全性上、特に注意を要するもの。店舗においても、生活者が薬剤師の説明を聞かずに購入することがないよう、すぐには手の届かない場所に陳列などすること。販売は薬剤師に限られており、販売店では、書面による情報提供が義務付けられている。
2)第2類医薬品:副作用、相互作用などの項目で安全性上、注意を要するもの。またこの中で、より注意を要するものは指定第2類医薬品となっている。第2類医薬品には、主なかぜ薬や解熱剤、鎮痛剤など日常生活で必要性の高い製品が多くある。専門家からの情報提供は努力義務となっている。
3)第3類医薬品:副作用、相互作用などの項目で、第1類医薬品や第2類医薬品に相当するもの以外の一般用医薬品。体調に影響があったとしても日常生活に支障を来すには至らないレベルのものが区分される。 例えばビタミン剤や整腸薬などである。

(3)OTC医薬品情報入手および検索

 OTC医薬品情報入手および検索は、下記の2か所において可能である。
・医薬品医療機器総合機構 一般用医薬品・要指導医薬品 情報検索
参照URL: http://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/otcSearch/
・日本OTC医薬品協会おくすり検索
参照URL: http://search.jsm-db.info/main2.php 

インタビューフォーム 

 インタビューフォームは、「医療用医薬品添付文書等の情報を補完し、薬剤師等の医療従事者にとって日常業務に必要な医薬品の適正使用や評価のための情報あるいは薬剤情報提供の裏付けとなる情報等が集約された総合的な医薬品解説書として、日本病院薬剤師会が記載要領を策定し、薬剤師等のために当該医薬品の製薬企業に作成及び提供を依頼している学術資料である。
もともと薬剤師が当該医薬品の詳細な情報を製薬企業の医薬情報担当者(MR)等とのインタビューを行っていたのがはじまりで、その後情報収集する際の質問事項を定め「インタビューフォーム」として、製薬会社から発行されるに至った。 現在は、「IF記載要領2013」に基づき作成されており、PDFファイルによる電子媒体での提供を基本とし、必要に応じて薬剤師がそれを印刷して使用することになっている。

(1)使用にあたり留意すべき点
 医薬品医療機器等法の規制や製薬企業の機密等に関わる情報、製薬企業の製剤意図に反した情報及び薬剤師自らが評価・判断・提供すべき事項等は IF の記載事項ではない。
再審査及び再評価(臨床試験実施による)がなされた時点ならびに適応症の拡大等がなされ、記載内容が大きく異なる場合には IF が改訂・発行される。随時改訂される使用上の注意等に関する事項に関しては、反映されないことがあるので、最新の添付文書などで薬剤師等自らが加筆、整備する必要がある。

(2)医薬品インタビューフォームの入手先
 医薬品インタビューフォームの入手は、以下の二通りがある。
 ①医薬品医療機器総合機構(PMDA)医療用医薬品 情報検索
   URL: http://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuSearch/
 ②各製造販売業者のウェブサイト

 医療用医薬品の添付文書とインタビューフォーム記載項目の違いについては表4を参照。
一般的な違いであって、必ずしもすべての事例に当てはまらない場合もある。

表4 医療用医薬品の添付文書とインタビューフォームの記載項目の違いについて



 IFと添付文書の情報が同じ□、IFに補完情報あり■、IFにのみ記載あり■に変更

 

医療用医薬品製品情報概要
 

 医薬品に関する概要は、製造販売業者により医薬関係者に伝達し、その適正使用を図ることを目的として、製造販売業者等によって作成される資料である。製品情報概要には、製品の全体 像(記載項目を網羅した)を示した総合製品情報概要と臨床成績や薬効薬理等の特定の項目について記載した特定項目製品情報概要がある。

重篤副作用疾患別対応マニュアル

 重篤副作用疾患別対応マニュアルは、重篤度等から判断して必要性の高いと考えられる副作用について、患者及び臨床現場の医師、薬剤師等が活用する治療法、判別法等を包括的にまとめたものであり、厚生労働省が作成している。現場の薬剤師をはじめとする医療専門職向けの学習ツールとしてとても有用な資料だが、冒頭の部分に「患者の皆様へ」という項目があり、患者向けにも、副作用の概要、初期症状や早期発見と早期対応のポイントなどが平易な言葉で紹介されている。この部分は別途、患者用重篤副作用疾患別対応マニュアルとして、別途掲載されている。同マニュアルはPMDAのサイトに公開されており、入手可能である(表5)。
 
表5 重篤副作用疾患別対応マニュアルリストの一部(医療関係者向け)(PMDAのサイトから)
                                 http://www.info.pmda.go.jp/juutoku/juutoku_index.html
 
年月日
 
部位・領域
 
副作用名
 
症状
 
平成21年5月25日
 
心臓・
循環器
 
うっ血性心不全
 
「動くと息が苦しい」、「疲れやすい」、「足がむくむ」、「急に体重が増えた」、「咳とピンク色の痰」
 
平成21年5月25日
 
心臓・
循環器
 
心室頻拍
 
「めまい」、「動悸」、「胸が痛む」、「胸部の不快感」、「意識消失」、「失神」、「けいれん」
 
平成23年4月28日
 
泌尿器
 
出血性膀胱炎
 
「尿が赤味を帯びる(血液が混ざる)」、「尿の回数が増える」、「排尿時に痛みがある」、「尿が残っている感じがする」
 
 

患者向け医薬品情報


 国内では、患者向けの個別の医薬品情報として「患者向医薬品ガイド」と「くすりのしおり」が利用可能である。

(1)「患者向医薬品ガイド」
 患者向医薬品ガイドは、平成 17 年の厚生労働省の通知に基づき、製造販売業者が添付文書の内容に準拠し、患者向けに作成した資材である。患者等が医療用医薬品を正しく理解し重篤な副作用の早期発見等を促すことを目的とし、高校生 程度の者が理解できるように作成されている。
利用の形態として、以下の場合を想定している。
  • 自らが使用することを目的とする場合
  • 医療関係者が、患者さんやその家族の方などに薬の説明をするために使用する場合
 患者向医薬品ガイドは、全ての医薬品に作成されるわけではなく、特に患者へ注意喚起すべき適正使用に関する情報等を有する次に示す医療用医薬品について作成される。作成対象の医薬品は以下の通りである。
・添付文書に警告欄が設けられているもの
・「効能・効果に関する使用上の注意」等の 項に「患者に説明する」旨が記載されているもの、
・患者に対し特別に適正使用に関する情報提供が行われているもの等

また、平成24 年に、厚生労働省により「医薬品リスク管理計画(RMP)指針」が公表され、「患者向医薬品ガイド」はその中で通常のリ スク最小化活動と位置づけされた。平成25年以降に申請される新医薬品等にRMP が策定され、その中で患者向医薬品ガイドも作成されることになった。患者向医薬品ガイドの一例を示す。医薬品医 療機器総合機構(PMDA)のウェブサイトから入手可能である。
(参照URL:https://www.pmda.go.jp/safety/info-services/drugs/items-information/guide-for-patients/0001.html
 
 
(2)くすりのしおり
 くすりのしおりは、製造販売業者が作成し、くすりの適正使用協議会が1993年から提供している。医師または薬剤師等の医療従事者が患者に服薬指導する際の補助手段として開発された。くすりのしおりは、患者への服薬説明指導書(PMI : Patient Medication Instruction)といえる。そのため、副作用名等は医療従事者が説明することが前提になっているので、専門用語が用いられており、患者自身が理解するには難しい面もある。しかしA4版1枚のコンパクトサイズで使いやすく、医療機関等で利用されている。くすりのしおりの一例を示す。英語版も用意されている。(参照URL:http://www.rad-ar.or.jp/siori/