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添付文書情報~海外添付文書情報

欧米の添付文書情報および安全性情報

(1)米国FDA(Food and Drug Administration)
 米国FDAは食品、医薬品、化粧品、医療機器、動物薬などの許可や取締りなどを行う機関である。米国FDAでは、ワクチン、血液製剤および生物学的製剤は生物学的製剤の評価・研究センター:CBER (The Center for Biologics Evaluation and Research)が担当し、それ以外の医薬品の承認は医薬品評価・研究センター:CDER(the Center for Drug Evaluation and Research)が担当しており、それぞれから承認薬情報等が提供されている。

①米国FDAの承認薬・添付文書情報
 Drugs@FDA: FDAの承認薬情報を調べる場合、Drugs@FDAを利用する(図1)。新薬、生物学的製剤、後発品全ての医薬品が対象でその承認の経緯、添付文書情報、通知など関連資料を見ることができる。
 FDAでは医薬品の添付文書情報を表す言葉として、ラベル(Label)またはラベリング(Labeling)が使われている。その他、処方薬情報(Prescription Information)、添付文書(Package Inserts)などの用語も用いられることがある。
(参照URL: https://www.accessdata.fda.gov/scripts/cder/drugsatfda/
その他に、添付文書情報を入手するサイトとして、米国国立医学図書館(NLM :National Library of Medicine) が運営しているDailyMedがある。Daily Med では動物用医薬品の情報も入手可能である。
(参照URL: https://dailymed.nlm.nih.gov/dailymed/index.cfm

 
                       
              図1.米国FDAの承認薬・添付文書情報の検索ページ

安全性情報

1)  Drug Safety Communications
 安全性情報である Drug Safety Communicationsは、医療従事者、患者およびその他の利害関係者も一つの文書で情報を共有できるよう意図されたもので、FDA改革により2010年に開始された。安全声明、患者への情報、医療従事者への情報、およびデータ概要を含む。

2) MedWatch
 MedWatchは、医薬品安全性情報のポータルサイトである。大きくは、次の二つに分かれる。一つは個人(医療従事者および患者・消費者)からFDAへ有害事象報告を受けるシステム、もう一つは安全性情報の提供である。安全性情報では、Safety Alertsとして医薬品、生物製剤および医療機器の回収情報、また医薬品の安全性に関するラベリング改訂(毎月)が提供されている。
医薬品別の情報インデックス(Index to Drug-Specific Information)のページでは、ここには医薬品毎にこれまでに出された添付文書の改訂を含む安全性情報等が時系列に整理されている。個々の医薬品のこれまでの情報の経緯を知ることができるので、大変有用なページである。


3)有害事象報告システム
有害事象報告システム(AERS:Adverse Event Reporting System )のページでは、企業や個人からの有害事象報告のデータが集積されており、四半期ごとのデータファイルが提供されている。
・FDAが解析した重篤なリスクのシグナル(Potential Signals of Serious Risks)も同様に四半期ごとに入手可能である。医薬品とそのリスク、またその対策がどのような状況かも知ることができる。
医薬品の市販後評価(Postmarketing Drug and Biologic Safety Evaluations)として、2007年9月以降に承認された新薬について、承認後18か月後または1万人の患者使用後の安全性評価情報が掲載されている。


4)FDA患者向け医薬品情報(Medication  Guides)
 FDA患者向け医薬品情報として、製薬企業が作成するMedication Guidesがある。Medication Guideは、米国FDAのリスク評価.リスク緩和戦略(REMS:Approved Risk Evaluation and Mitigation Strategies)の要件の一つでもある。FDAが以下に示す一つ以上の状況が存在すると判断した場合、作成される。
・重篤な副作用を防止するのに必要と思われる明白な情報がある場合
・患者の意思決定に、製品の既知の重大な副作用の情報について知らされるべき、または、
・製品の使用に対する指示の患者の遵守(adherence)がその製品の有効性に必須である場合
また、FDAと連携している、DailyMedも一般の人も利用しやすく構成されている。NLMはその他にもNLM's MedlinePlusを運営しており、健康情報から医薬品・サプリメント情報まで、一般向けの幅広い情報提供を行っている。
(参照URL: https://medlineplus.gov/) 


(2) 欧州の添付文書情報

①欧州医薬品庁の情報
 欧州医薬品庁(EMA:European Medicins Agency)はヒト用および動物用を対象にした医薬品の審査と監視を行っている機関である。EUの加盟国内の医薬品の承認方式として、大別すると中央審査と相互承認審査方式がある。中央承認審査方式は欧州委員会が加盟国すべてに迅速に販売承認を与える方式で、相互認証審査方式は加盟国で得られた承認を他の加盟国が承認する方式である。
EMAから得られる医薬品情報は、中央承認審査方式で承認が得られたものが主である。EMA(以前はEMEA)は、1995年に設立されたので、それ以前に各国で承認された医薬品も除外される。ただし、相互認証審査方式で承認された医薬品の安全性情報も検討されるし、添付文書の改訂についても、各国間での調整が図られている。


1)承認・添付文書情報
 EMAは、中央承認審査方式により承認が得られた医薬品について、EPAR (European public assessment report)と呼ばれる科学的評価報告書を公表している。この中には、一般人向けの承認情報(EPAR Summary for the public)、製品情報として製品概要(SmPC:Summary of product characteristics)、包装ラベルに記載されるLabelling、患者用の添付文書情報としてPackage leaflet(PL)などが掲載されている。SmPCは日本の添付文書に該当するものであるが、インタビューフォームを合わせたレベルの情報量がある。
(参照URL: http://www.ema.europa.eu/ema/
 EMAのトップページに検索画面がある(図)。検索には、医薬品の販売名は日本と異なることがあるので、INN(International Nonproprietary Names)を用いる。INNは、国内医療用医薬品の添付文書の理化学的有効成分の欄に原則記載されている。検索結果として、ヒト用医薬品、動物薬、ヒト用ハーブ薬の3項目が示されるので、ヒト用医薬品の該当製品を見る。最初に表示されるのは、一般人向けの承認情報で、Q&A形式で承認に至った経緯や医薬品の注意すべき点などをわかりやすく説明している。製品情報の項目には、SmPC、患者向け添付文書(Package leaflet)があり、EU加盟国の言語で提供されている。EU加盟国から集められた副作用報告はEudraVigilanceに集積されている。


 ②英国の添付文書情報
 英語での情報収集には、英国の情報サイトを活用するとよい。

1)英国医薬品・医療製品規制庁
 英国医薬品・医療製品規制庁(MHRA :Medicines and Healthcare products Regulatory Agency)は、英国内の医薬品と医療製品等の規制を行っている。現在は欧州連合(EU:European Union)のメンバーであるが、EU離脱後は、医薬品の承認は全て英国で受けることになり、その条件が多少違ってくることも考えられる。現在、英国の承認薬について、MHRAの医薬品情報のサイトから、製品概要(Summaries of Product Characteristics:SPCs)および患者向け添付文書情報(Patient Information Leaflet:PIL)の情報が入手可能である(図2)。
(参照URL: http://www.mhra.gov.uk/spc-pil/index.htm


 

       図2.英国医薬品等の規制機関MHRAの添付文書情報 
        (医療従事者および患者向け:SPCおよびPIL)検索サイト


2)英国eMC(electronic Medicines Compendium)
 eMCは、英国内の製薬会社と協同し、英国におけるすべての承認薬の製品概要(Summaries of Product Characteristics:SPCs)および患者向け添付文書情報(Patient Information Leaflet: PIL)の情報を提供している(図)。Datapharmが提供するサイトで、国民保健サービス(NH S:National Health Service)および他に関連組織とも協力関係にある。PILは、トップページにはテキストバージョン(HTML版)で提供されており、PDFも別途参照できる構成になっている。PILから添付文書、患者からの副作用報告ができるようにリンクされている。また、関連医薬品の表示、同じ成分の情報も提供されており、代替の医薬品を知り比較することが可能である(図3)。
(参照URL: https://www.medicines.org.uk/emc/



  図3 英国医薬品等の規制機関MHRAの添付文書情報
       (医療従事者および患者向け:SPCおよびPIL)検索サイト
 
 なお、製品概要であるSmPC (欧州EMA)とSPC(英国MHRA)、患者向け添付文書情報であるPL(欧州EMA)とPIL(英国MHRA)は、現在は同一のものである。表1に、日、米、欧の患者向け添付文書情報の比較を示す。
 
 表1 患者向け添付文書情報の比較
 
 
日本(厚生労働省)
 
EU(EMA)、英国(MHRA)
 
米国(FDA)
 
名称
 
患者向医薬品ガイド
 
Package Leaflets (PLs)                  Patient Information Leaflets(PILs)
 
Medication Guides 
 
目的
 
重篤な副作用の早期発見等を促す
 
患者のディシジョンメイキングをサポート
 
リスク評価.リスク緩和戦略(REMS)の一環
 
リテラシーレベル
(読解レベル)
 
高校生程度
 
小学校5年生程度
 
小学校5年生程度
 
作成範囲
 
・重大な副作用を有するものなどに限定         
・リスク管理計画(RMP)対象医薬品
 
全ての医薬品(1999年~)
 
REMS対象医薬品
 
提供形態
 
ウェブ(PMDA)のみ
 
ウェブ(EMA,MHRA,eMC), 
印刷物
 
ウェブ(FDA), 印刷物
 
副作用の記載
 
重大な副作用のみ
 
概ね全ての副作用
 
概ね全ての副作用