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治療薬の情報など

抗菌薬の選択

まず病原体を推定・決定してから、その菌の薬剤感受性(MIC)、宿主の要因(妊娠、高齢者、肝・腎機能など)、
薬物の体内動態(PK-PDパラメーター、移行性など)を考慮し、抗菌薬を選択します。

抗菌薬の誤った使用により多剤耐性菌の出現の問題が生じます。正しい選択、使用が重要です。



◆病原体の推定、決定
 
 塗布検査(グラム染色が主)、培養検査、同定検査、迅速診断キットなどを用います。



◆薬剤感受性試験
  ディスク法をよく用います。その他に希釈法などがあります。
  MIC(最小発育阻止濃度)やMBC(最小殺菌濃度)を抗菌薬選択の指標とします。



◆宿主の要因
 (1)肝機能・腎機能が低下した患者
   肝機能が低下していると、肝代謝型の薬剤の代謝が遅延し、副作用リスクが上昇します。
   腎機能低下時の腎排泄型薬剤についても同様です。
  
 
  (2)妊婦 
 
      妊婦へ抗菌薬を投与したときの胎児に発生しうる副作用には以下のようなものがあります。
    テトラサイクリン→胎児の骨発育障害
    クロラムフェニコール→胎児の再生不良性貧血・新生児のグレイ症候群
     アミノグリコシド系→胎児の第Ⅷ脳神経障害、催奇形性
       ニューキノロン系→催奇形性(禁忌)



◆薬物の体内動態…臓器移行性、PK-PDパラメーターなど
 (1)臓器移行性
  臓器移行性は、感染症の経験的治療(エンピリックセラピー)の参考になります。

中枢神経への移行性       (青木眞. レジデントのための感染症診療マニュアル第2版,2008年) 
      移行しないものは、髄膜炎や中枢神経感染には使用できません。



臓器別の移行性   (山田舞子ほか. 感染対策ICTジャーナル, 6: 48-53, 2011.)
  菌に感受性のある抗菌薬でも、感染組織に移行しなければ使用は難しくなります。


抗菌薬適正使用マニュアル 京都私立病院協会編 2011年度版より





☆経験的治療(エンピリックセラピー)
 細菌感染症の重症患者に対し、原因菌を特定する前に過去の例から抗菌薬を投与すること。
 通常、抗菌スペクトラムが広い抗菌薬を使用します。
     (カルバペネム系や第3世代セフェム系など、様々な微生物に対して効果のある抗菌薬)
    ※ペニシリン耐性肺炎球菌の一部は第3世代セフェムにも耐性を示すといわれています。

 原因菌が特定できた後は、広域抗菌薬から最適な抗菌薬に変更します。(デ・エスカレーション


表:細菌性髄膜炎における年齢ごとの推定原因菌と初期選択薬




●外来患者に対する抗菌薬
抗菌薬が本当に必要なときに限って、適切な抗菌薬を処方・調剤するようにします。

例:呼吸器症状


  ※アモキシシリン…伝染性単核症患者では禁忌(発疹の発生率が上昇するため)



●入院患者に対する抗菌薬

原因菌の特定ののち、抗菌薬を選択します。
経験的治療をしていた場合は、適切なデ・エスカレーションを行います。

病棟内の患者さんは日和見感染を起こしやすいので適切な感染対策が重要です。

点滴静注用抗菌薬を用いることも多いです。
βラクタム系薬、フルオロキノロン系薬、アミノグリコシド系薬、グリコペプチド系薬など



◆外科領域における抗菌薬
  主に術後の手術部位感染(SSI:surgical site infection)を予防するために用います。

・皮膚常在菌のみを予防抗菌薬のターゲットとする


・皮膚常在菌に加え、臓器特有の常在菌を予防抗菌薬のターゲットとする


・臓器に常在菌は存在しないが、隣接する消化管の常在菌をターゲットとする

CEZ:セファゾリン(第一世代セフェム系)
CMZ:セフメタゾール(第二世代セフェム系)
CTM:セフォチアム(第二世代セフェム系)
FMOX:フロモキセフ(第二世代セフェム系)
MTZ:メトロニダゾール(抗菌薬・抗原虫薬)
SBT/ABPC:スルバクタム(βラクタマーゼ阻害剤)/アンピシリン(ペニシリン系)



◆手術部位感染のガイドライン (MRSA感染症の治療ガイドラインより)





●抗菌薬のPK-PD




◆濃度依存性抗菌薬


※PAE(post-antibiotic effect)…抗菌薬の血中濃度がMIC以下でも持続してみられる細菌の増殖抑制作用。


◆時間依存性抗菌薬(AUC/MIC)


※PAE(post-antibiotic effect)…抗菌薬の血中濃度がMIC以下でも持続してみられる細菌の増殖抑制作用。


◆時間依存性抗菌薬(Time above MIC)



 

抗菌薬のTDM

 患者個々に応じた適切な投与量と投与間隔を設計することで、
 薬の有効性を最大限に引き出し、かつ副作用の発現を抑えることができる。
    ⇒薬の安全に使用するという薬剤師の使命を果たすこと ができる。

 他の医療スタッフと比べて薬に詳しい薬剤師がTDMを行い、医師に処方提案することで、
 薬剤師の必要性を認識してもらうことができる。
    ⇒医師からの信頼感を得ることができる。より良いチーム医療につながる。



       ☆TDMは薬剤師の最大の武器だといえます☆
 

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